元気な発酵人 vol.12

薬膳料理研究家:谷口ももよさん

薬膳料理研究家として「健康は日々の食卓から」、「美食同源」をテーマに、身近な食材で簡単に作れる美味しい薬膳レシピを提案する谷口さん。 東洋美食薬膳協会や全日本薬膳食医情報協会など、薬膳にまつわる様々な団体の理事長や名誉顧問を務め、講演会やセミナー、メディアへの出演など活動は多岐にわたります。「薬膳ビューティレシピ」等、著書も多数。 10年以上前から自宅で実施している薬膳料理教室「Salon de Maman」は予約が取れないほどの人気ぶり。 そんな谷口さんに、薬膳料理との相性抜群な発酵食品の魅力を伺いました。今回のために考案いただいたレシピも要チェックです。

体が喜ぶ食生活

薬膳料理と聞くと難しく、特別な食材を用意しなければならないイメージがありますが、スーパーで手に入る食材で作ることができます。薬膳料理の基本は、それぞれの食材のもつ効果・効能を理解し、自分の体質や体調に合わせてセレクトすること。 初心者は食材の特徴を覚え、ちょい足しからトライするのもOK。体が冷えているなと感じた時には、体を温める生姜やねぎ、カボチャなどの食材をいつもの食事に取り入れるなど、実は手軽にスタートできます。 「薬膳料理で大事なのは、自身の体に耳を傾け、体調に合わせて食材をバランスよく摂り、体をちょうど良い状態にすることです。」と谷口さん。 体の声を聴いて食材を選ぶ食生活は、体の不調を解消するだけでなく、美肌効果やメンタルケアも期待できるとのこと。薬膳料理の効果は嬉しいことずくめです。

薬膳料理との出会い

谷口さんが自身の食を見直したきっかけは、原因不明の体調不良からでした。 体調を崩すことが多かった独身時代、病院をいくつ受診しても原因はつきとめられず。不調に悩みながらも、自分の体に耳を傾けることをあまりしてきませんでした。さらに第二子を出産してからはめまいにも悩まされるように。 母親として幼い子供を守らなければならない立場から、健康で丈夫な体になるために、食生活から改善しようと取り入れたのが薬膳料理の考え方でした。 もともと料理が好きでホームパーティーなどを開くことが好きだった谷口さん。忙しい子育ての合間を縫って勉強し、国際薬膳調理師の資格まで取得したところ、是非料理を教えてほしいという友人の勧めで、薬膳料理教室を自宅で開くことになり、それが現在の「Salon de Maman」につながっています。 2015年にはグルマン世界料理本大賞で薬膳レシピ本がグランプリを受賞。 「薬膳料理を本格的にスタートしてからはすっかり体質が変わり、体調を崩すこともなくなりました。」と谷口さん。

薬膳料理と発酵食品

実は発酵食品と薬膳料理の相性に元々着目していた谷口さん。 「発酵食品の多くは腸の調子を整える効果があり、腸がきれいになることで代謝もアップし、食材の栄養が体の隅々まで行き渡るようになります。 また、体が冷えやすい女性は温性の食材が多い発酵食品を積極的に取り入れたいですね。」 長野県の発酵食品については、「保存食の発達した長野県は発酵食品の種類が豊富で、レシピに取り入れやすくアレンジも効くのが嬉しいですね。なにより、日本人の口にも体質にも合う発酵食品は、薬膳料理を手軽に美味しく仕上げてくれます。」と教えてくれました。 長野県産食材の中でも味噌に注目する谷口さん。「味噌は体を温め、代謝を高め、巡りを良くする発酵食品です。また、味噌に含まれる乳酸菌には整腸作用もあります。体を温めながら腸内環境を整えることができる味噌は、冷えやすい女性にとって、とても嬉しい食材です。腸を整えることは美肌にもつながります。」と教えてくれました。 「長野県産味噌は種類が豊富で、お料理にあわせて選んで使えるのがとても良いと思います。比較的しっかりした、濃いめで辛口のすっきりしたお味が特徴だと思いますので、少量でもしっかり素材を引き立ててくれますね。」 今回はアンテナショップ「銀座NAGANO」でセレクトした長野県産食材を使用したレシピを考案いただきました。ここではその中の1つをご紹介します。

「凍り豆腐味噌チーズグラタン」

●材料(2人分):凍り豆腐(高野豆腐)四角いタイプ 15g/味噌 大さじ1/野沢菜漬け 20g/バター 10g/玉ねぎ 1/2個/マイタケ 少々/溶けるチーズ 一掴み/牛乳 150㏄/小麦粉 大さじ1

●作り方

【1】凍り豆腐を水で戻し、水気を切っておく。

【2】薄くスライスした玉ねぎと細く切ったマイタケを鍋に入れバターで炒める。細かく刻んだ野沢菜漬けを加え軽く炒めたら、小麦粉大さじ1を入れる。全体に粉っぽさがなくなったら牛乳を少しずつ加えてホワイトソースを作る。

【3】【2】に味噌大さじ1を入れ味を調えたら、【1】の凍り豆腐を入れよくなじませる。

【4】【3】をココットなどに入れ、上に溶けるチーズを一掴みずつ入れる。230度に予熱したオーブンで表面に少し焦げ目がつくまで20分ほど焼く。

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美味しく楽しく美しく

「薬膳料理と出会い、肌年齢ではマイナス14歳の測定結果が出たこともあります。」と谷口さん。健康と美肌を手に入れたご自身の経験から、出版したレシピ本は、身近な食材で薬膳を“実践”できるレシピにしています。 さらに今後は、発酵食品と薬膳料理を組み合わせる魅力も広めたいとのこと。 「発酵食品で腸を整えることで、食材の栄養が体の隅々まで行き渡るといった相乗効果に注目しています。」 谷口さんはご自身の体験を基に、発酵食品と薬膳料理の魅力を発信しています。

谷口さんの情報は下記リンクから!